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アザチオプリンのこの副作用に注意【作用機序を分かりやすく解説】

<監修薬剤師 日髙宗明>
薬 

アザチオプリンという成分をご存じでしょうか。免疫抑制剤として様々な病気の治療に用いられていますが、その効能が高いために副作用も出やすい成分です。

今回はアザチオプリンのこの副作用に注意すべきというお話をします。作用機序を分かりやすく解説しますので、もしもの際に役立てて下さい。

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アザチオプリンとは?

 

まずはアザチオプリンがどのような効能を持つ成分なのか解説します。

 

アザチオプリンの効能

アザチオプリンは免疫抑制剤の一種です。DNA合成を抑制するのが主な効能です。

商品名「イムラン」「アザニン」として広く使用されています。同じような免疫抑制薬としてはステロイド剤が有名ですが、ステロイドは効果がある一方で依存性があるという問題点もあります。

 

アザチオプリンは「これ以上ステロイドの投与は出来ない」という場合や、「体質的にステロイドの投与が難しい」という場合に、代用品として、もしくはステロイドの依存性を改善させるために使用されることもあります。

ただし「免疫を抑制する」という特性上、アザチオプリンも問題が全くない薬とは言えません。症状や他の薬の服用量を注意深く医学的に観察した上で投与されるべきものなのです。

 

アザチオプリンが使用される病気とは

アザチオプリンは多岐にわたり使用されています。いったいどのような病気の治療に用いられているのか解説します。

 

【リウマチ性疾患】

リウマチ性疾患の中でも特に、難治性の以下の疾患に使用されます。

✅ 全身性血管炎

✅ 全身性エリテマトーデス

✅ 多発性筋炎

✅ 皮膚筋炎

✅ 強皮症

✅ 混合性結合組織病

【臓器移植の際の拒絶反応抑制】

臓器(心臓・肺・肝臓・腎臓)移植した後に、拒絶反応が起こらないように予防薬として処方されます。

 

【潰瘍性大腸炎】

大腸粘膜に潰瘍やびらんが出来る疾患です。大腸粘膜の不調により、血便や便秘、下痢といった症状の他、風邪を引きやすくなるといった合併症も引き起こされます。

炎症を抑えた状態を維持するために免疫を抑制するための治療が行われますが、ステロイド依存性の場合にアザチオプリンが使用されます。

潰瘍性大腸炎の症状についてはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
潰瘍性大腸炎の症状チェック!下痢が初期のサインです!

 

【クローン病】

全身の消化管に部分的な炎症が慢性的に引き起こされる疾患で、国の特定疾患指定を受けています。寛解維持療法としてアザチオプリンが用いられます。

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アザチオプリンの副作用に注意

 

効果のあるアザチオプリンですが、副作用が出やすい成分でもあります。そのため、治療に用いる場合は経過の観察が欠かせません。

いったいどのような副作用が出やすいのか解説します。

 

血液障害

アザチオプリンの薬効により骨髄抑制が誘発されやすく、貧血、血小板減少や出血などの血液障害が起きる可能性があります。

血小板が少ないとどのようなリスクがあるのかこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
血小板が少ない原因一覧【4つの病気の可能性アリ!】

 

肝障害

アザチオプリンが肝細胞へダメージを与えることにより肝障害が発現する場合があります。

肝障害の結果、皮膚や目の白い部分が黄色く変色してしまうことを、黄疸症状と呼びます。

これは肝機能に何らかの障害が起きている証拠です。そしてその原因にアザチオプリンが関わっている場合があります。このほか、慢性膵炎を引き起こす原因物質となることもあります。

 

黄疸症状についてくわしくはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
黄疸の症状を新生児と大人で分けて解説【末期がんとも関係してるの?】

 

消化器症状

吐き気・嘔吐・食欲不振といった消化器官の不調が現れることがあります。

 

ショック様症状、過敏症状

悪寒、発熱、皮膚の発疹などが生じる場合があります。

このような症状があらわれた場合には、服用を中止してください。

 

感染症

感染症に対する免疫力が低下し、肺炎や敗血症が発症しやすくなります。

また、B型肝炎やC型肝炎の悪化が見られることもあります。

 

その他の副作用

状態や体質によっては以下のような副作用が出る場合があります。

✅ 間質性肺炎

✅ 重度の下痢

✅ 進行性多巣性白質脳症

✅ 口内炎、舌炎

✅ 脱毛

✅ 関節痛

 

将来的な影響

アザチオプリンを服用することによる即時的な影響が現れるわけではありませんが、長い年月をかけて体内にアザチオプリンの影響が蓄積されていくと、以下のような疾患の発現リスクが高まる恐れがあります。

✅ 白血病

✅ 悪性腫瘍(特にリンパ腫、皮膚癌など)

 

アザチオプリンの作用機序

 

免疫抑制剤としてのアザチオプリンがどのような作用機序をもつのか、分かりやすく解説します。

 

アザチオプリンは体内に入るとグルタチオンと反応します。グルタチオンは3つのアミノ酸から構成される物質で、サプリメントとして販売されているなど、私たちの生活には身近な成分です。

このグルタチオンと反応することで、アザチオプリンはメルカプトプリンを合成します。

メルカプトプリンには免疫抑制機能があり、抗がん剤や白血病の治療薬として使用される成分です。
メルカプトプリンはプリン核酸の生成と代謝を阻害する作用を持ちます。つまりDNAを合成する原料の合成を阻害しているのです。

それに加えて、DNAに取り込まれて、DNAの働きを阻害し、細胞障害作用を発揮すると考えられています。

 

DNAの合成が阻害されると新たな細胞は作れなくなります。

免疫細胞は普通の細胞よりも生成が盛んであるため、免疫抑制効果を示すことになります。

つまり免疫の暴走が原因で発症した病気は、その原因を絶たれることになるので、症状を緩和できますし、進行を止めることが出来ます。

 

とても便利な機能に思えますが、同時にメルカプトプリンは骨髄抑制を引き起こします。骨髄が抑制されると白血球や赤血球の生成が阻害されてしまいますので、長期間の投与には適していません。

患者の容態を見ながら、必要に応じてアザチオプリンの投与を中止する必要があります。

血液検査で分かる血液の状態についてはこちらを参考にして下さい。

【関連記事】
血液検査のwbcとは?【正常値でない場合に起こる疾患に注意】

 

アザチオプリンの注意すべき副作用について、作用機序を踏まえて解説しました。どのような仕組みで身体に薬が効果を発揮するのかきちんと理解した上で治療薬と付き合っていきましょう。

  当記事は医師、薬剤師などの専門家の監修を受けておりますが本サイトで提供する情報、文章等に関しては、主観的評価や時間経過による変化が含まれています。 そのため閲覧や情報収集は利用者ご自身の責任において行っていただくものとしその完全性、正確性、安全性等についていかなる保証も行いません。

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